悩んでいる人は信用しない、と誰かが言っていた

先日、音声メディアのVoisyで、とある有名人が、「悩んでいる人を信用しない」と言っていたのを聞いて、まあまあ共感する部分を感じた。悩んでいたらダメなのか?と言われそうだが、悩むのがダメというより、そこでずっと立ち止まることがよくない、と言っている内容だった。

 

実際、悩んでいる人の中には延々と悩んでいる人がいる。そのVoicyでも言っていたが、その悩みを誰かに聞いてもらい、とりあえずの対処が決まったら、また次の悩みを探すとも言っていた。かなり極端な意見ではあるが、私的には言いたいことは分かるし、実際そういう人は意外に多い気がする。

 

ずっと悩んでいる。その間にでも何か手を打てば?と思うが、それでもずっと悩んでいる。どうしていいか分からないといって悩んでいる。なかなか打てないのであれば打ち方を変えるか、もっと練習するしかないのでは、ともそのVoicyでも言っていたが、多分それもしたくないのかもしれない。

 

私の所に相談に来られる人でも、ひたすら悩んでいるという人も結構いる。以前、サラリーマン時代の知り合いだった人が、私の書籍を読んで、私の所に相談に来た。多分10年振りくらい。年上の人だが、サラリーマン時代には私の得意先の社長さんで、私のことをかなり気に入ってくれていて、食事にも何度か言ったことがある。サラリーマンをやめる時は送別会もやってくれた人だ。「中西君はすごいね~」と昔も今も言ってくれている。

 

今回の悩みを聞くと、ほぼ10年前と同じ内容だった。というより全く一緒だったかもしれない。私も10年分の進歩もしているので、新たな知見を加えて、そのお悩みの解決策をお話した。それは決して難しい問題でもなく、もうこれしかない、という解決策だ。するとまた顔が曇り、今度は「それをやってうまくいかなかったらどうすればいいだろう・・・」と考え出す。「それをやってダメだったら、その時にまた考えればいいんじゃないですか?今回の案はリスクも全くないし、まずはやってみましょう」と言っても、「それをやってダメだったらのことを考えると難しいと思う・・・」と、完全にループ状態に陥っていた。

 

もうこれ以上話ししてもどうしようもないので、丁重に解決策を整理し、紙にもまとめてあげた上で帰っていただいた。あれから数ヶ月経つが、多分何もやっていないと思う。あれから連絡もない。多分、まだ悩んでいるか、また違う誰かに相談に行っているのかもしれない。

 

コンサルティングをさせていただく社長さんにも、そういう人はいる。単にやりたくないのか、私のことを信用していないのか、言ったことをなかなかやってくれない人はいる。あまりにもやってくれないので、「もう他のコンサルタントに頼んではいかがですか?」と丁重に言うと、「見捨てるんですか?」と怒りだされたこともある。

 

人の悩みは尽きない。私だって悩みは一応ある。ただそれは、悩んでいるというより、あらゆる課題に対して、よりよい方法を考えている、と言った方が正しいとは思う。だから悩んでなどいない。常に考え、変化させ、試行錯誤しながら前に進んでいると思う。判断の全てが正解という人などはいない。ただそれを重ね続けると確実に「思考の結果の精度」は上がっていく。そして徐々に完成に近づいていくのだろう。

 

稲森和夫さんは、「人間を完成させるための努力の過程が人生だ」的なことを言っていたが、哲学的に言えばそういうことかもしれない。また私も明日から、一度きりの人生を完成させるために試行錯誤していきたい。よって、悩むのはもうやめましょう。