利益を上げる為の本質というのはいつの時代も変わらない。ただ、顧客対応、品質維持、安全管理等の業界問わずの普遍的な要素などはあるものの、それらの遵守によって「利益」が必ず上がるとは言い切れない。良い商品さえ作っていれば、きちんとした工事をしていれば、会社の利益が上がると言い切れるものではない。
顧客への誠実な対応はしないといけない。より良い商品でありサービスの維持は当然基本とも言える。全てを安全にあらゆるリスクを取り除かなければならないも当然の事だ。全ては基本である。それらの全ての大前提を備えた上で、利益を上がるための絶対的な手法として、私は「目標管理」を唱えている。
目標があれば追いかけなければならない、突き詰めれば頑張らなければならないので、特に社員の方などはなんだかんだと言って敬遠したがる。喜んでやる人はなかなかいない。会社側としてもやりすぎると一昔前のノルマという言い方にもなり、現代はそれを避ける風潮も一部ある。又、管理と言うとどうしても縛りの印象も出てくる。いかに自由に、社員であり個人の意志で、などというのも最近の風潮では多い。
しかし、米Amazonなどでは、ここに来てコロナ禍より主に自宅での仕事にシフトしていた社員に対して、週5回の出勤を義務付けし出した。自宅業務などでは業務の質が落ち、業績がどうしても上がってこないとの判断だ。出社が出来ないのなら辞めてもらっていいとまで言っているらしい。多少厳しすぎるとも言えないでもないが、経営側がそう言いたくなるのも分からないでもない。どうしても自由になりすぎると人は弱くなる。どんなに強靭な意思を持っていても、自由の中で自分を律し続けられる人などはなかなかいない。
私は個人的には、時代背景など関係なく、先程の「目標管理」が業績アップの基本であると思っている。もっと言えば、それは「利益目標管理」という言い方になる。要は会社として年間の利益目標を掲げて皆で追うという事だ。それも営業利益や経常利益と言った、経営的な要素が入っている利益では意味が無い。社員の誰もが理解できる数字、1つ1つの物件や商品に紐づけられている利益である「粗利益」を軸としなければならないと思っている。
数年前と違い、人件費を含むあらゆる原価が上がっている。決して原価折衝を放棄してはいけないが、今の時代そんなに目一杯に原価交渉はなかなかできない。やり過ぎて仕入れられなくなる方がリスクになるからだ。又、会社の経費もそんなに下げられない。余程無駄なものは取りやめたりする事は必要だが、これも逆に追加でかかってくる経費なども少なくない。原価は下げられず、経費も下げられない。利益を上げるにはその最後の一つである売価を上げるしかないのだ。
私は17年間一貫して売価アップでの利益増を提唱し、コンサルティングを勧めてきた。そしてあくまでもその売価アップの延長の中で、原価や経費減を進めていた。コンサルタントになりたての頃などはリーマンショックの辺りだったから、「売価を上げるなんてとんでもない」的な反応をよくされたものだ。しかしその当時でも、各社の売価アップは案件や商品にもよるが、概ね半分程度は「普通に」まかり通っていた。それもほぼ無風状態で。金額提示している各社の営業の皆さんが面食らっていたのは今でも覚えている。あれから15年以上も経ち、時代は上記のように大きく変わった。売価アップ、いわゆる値上げは世の中全てのスタンダードになっているとも言える。その今の時代で取り組まないで、一体いつ売価の大幅アップに取り組むのだろうかと思ってしまう。
そのネックは販売側の心理状態が99%となる。売れなくなったらどうしよう、というのは表面的な言い訳であり、実のところはただ言いたくないというのが本音だ。顧客に「えッ?」と思われたくない、説明したくない、今まで通りに出来るだけ楽に進めたい、それが売る側の本心だ。何故そう言い切れるのか?何より私がそう思うからだ。売価アップの提示をする事に、全くゼロ抵抗の人など世の中には多分いない。
しかしその抵抗感も実は最初だけだ。一回それで通れば、顧客にもその金額はすぐに普通になっていく。だから最初だけは頑張らないといけない。最初だけ頑張ればいいのだ。問題はその「程度」をどの辺りに持っていくのが妥当かという所だろう。そこにはまた深い領域が存在する。
またブログが長くなりそうなので、今日はここまでにしますが、このブログの表題の「2025年の利益を上げるカギ」については、売価アップの設定の仕方にあると断言して言えます。