自分の声に伝える力はあるか

全く同じ事を話していても、染みるように相手に伝えられる人もいれば、何もなかったかのように普通に流される人もいる。

 

以前のブログに書いた、「はっきりと言っているか」という事もポイントの1つではあるが、声の出し方1つでも、その違いは大きく出てくる。

 

私はボイストレーナーなどではないが、私の所感を具体的に言えば、 

①活舌

②声の大きさ

③声の張り方(②と微妙に違う)

④声のトーン(高さ)

⑤相手に明確に伝えようとする「意思」

が挙げられると思う。

 

活舌が曖昧で、声そのものが小さく、全く通らない声で、低音で、加えて「とりあえず言うだけは言っておこう」など思っている人の言葉など伝わるはずはない。この文章を見ただけでも、「あー、それは伝わらないな」と思うのではないだろうか。しかし現実は多くの人がその条件を多く満たした話し方をしている。この人はいい話し方、人に伝わる話し方をしているな、と思う人に出会う事などなかなかない。

 

「社員の人達にこれを言ってください」「営業の人達にこれをやるように言ってください」「この書式にこのように書くように会議で言ってください」などと経営者の方に言っても、結果としてできていない事が多い。「言わなかったのですか?」と聞くと、そのほとんどが「ちゃんと言った」と言ってくる。伝わり方や徹底度が弱いだけならまだいいが、社員の方達に後から聞くと、そもそもそんな話は聞いていないと、ほとんどの人が言う。じゃあ経営者の方が言っていないのかといえばそんな事もなさそうで、結局、言われた方が「言われた記憶すら持てない伝え方」になっているという事のようだ。

 

これは上記の声自体の問題もあるが、実はその根本には「本当は伝えたくない」という「隠れた意思」が働いている事がある。上記の⑤だ。社員に言わなければならない事を伝えたくない、などという事があるのかと思われそうだが、これが実は意外に多い。言う内容にもよるが、本当はそれをやらせたくないのか、自分の立場と伝える相手との関係性に自信がないのか、本当は伝えようとなどしていないという事というのは普通にある。

 

数年前、ある会社でその会社の経営者と幹部社員との関係性がうまくいっていなかった。双方に話を聞くと、実は単純な問題で、私は社長に、その社員と夕食か昼食でもいいので誘って、「いつもありがとうな。頼りにしているぞ」とその一言だけ言うようにお願いした。しかし次の月も、その次の月も言ってはくれない。何度言っても言ってはくれない。半年経過した時点で私は諦めてもう何も言わなくなった。その後、何か月か経ち、コロナ禍でその会社に行けなくなったので顧問契約を解除してもらっていた。更にその後1年程して、まだコロナ期間ではあったが、その経営者から改めて相談があると言い久しぶりに会ったのだが、結局その社員との関係性についての同じ話であり、未だに二人で話もしていないという。いろいろな背景は無い事もないが、まずは話す事をしてくれれば良かったものを、徹底してそこを避けたがる経営者だった。と言っても、この事例は上記5点の更にその以前の話になるが。

 

もう1人、これは7年以上いた会社の経営者だが、その会社では、私が入ってから、賞与を渡すときに、人事考課の上で1人1人面談をして話をするやり方をとっていた。社長、専務、そして私も同席して100人以上いる社員全員と面談をしていた。その社長の話し方というのは、言い方は悪いが、口先だけで「モニョモニョ」という言い方で、社員の方々が意味を理解していないと思われるシーンが何十回もあり、賞与渡しの時だけで、多分もう累計で100回以上はその話し方を変えた方がいいと言っていた。しかしその経営者は、決して自分の話し方を変えなかった。最後まで何も変わらなかった。

 

長々とした例え話2つだったが、上記の①~⑤に行き着く中で、やはり何より、その「話し方を変えよう」という思いを自分自身で持たなければならない。自分が言った事を誰も理解してくれないどころか、聞いてもくれていない、というより言われたかどうかも覚えていない、という事そのものは良い事だろうか?良い事のはずはない。経営者に限らず、一般の人でもそんな状態は困る事は多いだろう。

 

どうせ話すのなら、ちゃんと伝わって、理解してくれて、そのようにやってもらいたいと誰もが思うはずだ。

多少でも心当たりのある方は、まずは上記の5つを意識してみてはいかがだろうか?

 

 

 

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